《MUMEI》 神名晴の話。その5晴姉さんが結婚したとしよう。 名字が変わる。 ……まぁ、別に神名に深い思い入れはない。 神名だろうと浜松だろうと構わない。 まぁ他にも色々とあるだろうけど、僕が思う一番の問題は……。 浜松天馬が家族になる。 家族になるということは、一緒に暮らすということ。 ………………………………………………。 全っ然しっくりこない。 「あああああああああああ」 なんなんだ、この胸のモヤモヤは……。 やっぱり、僕は反対なんだろうか。 「ただいまー」 晴姉さんが仕事から帰ってきたようだ。 「おかえり晴姉さ……って玄関で寝たら風邪引くよ!?」 相当疲れていたようで、帰ってくるなりバタンキューだった。 なんとか晴姉さんを風呂場まで運び、晴姉さんはシャワーを浴び始めた。 晴姉さんが脱ぎ捨てた衣類をハンガーに掛ける。 「あ」 その時、上着から携帯電話が落下した。 それを拾おうと携帯電話に触れた瞬間、携帯電話は鳴り始める。 「え、やば!」 どうやら相手からの着信らしい。 画面には……浜松天馬の名前が表示された。 「……ッ!」 手が……震える。 どうする……いや、今から何をするかだなんて、自問しなくてもわかりきっている。 僕は、電話に出た。 前へ |次へ |
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