《MUMEI》 目当てのものを無事買えたらしい優斗は満足げな顔をして瑞希の元へと戻ってきた。 「買い物も終わったし、カフェにでも入ろうか」 「はい」 そういって目の前にあった少しお洒落なカフェに入っていく優斗を見ながら、自分は着いていく必要があったのだろうか、と疑問に思うところだったがスイーツをおごってくれたので結果オーライである。 ちゃんとお礼は忘れずに伝えておいた。 そしてそのあとに瑞希は優斗の目を盗んではぐれたふりを見せかけ自分の買い物を速攻で済ませると急いで帰路についた。 そのあとに聞こえた「…あれ?赤城さん?」という言葉は聞こえないふりをして人混みに紛れこんだ。 まぁ勿論、瑞希とはぐれ(させられ)た優斗が瑞希を探し始める事に罪悪感を覚えないこともないが。 歩きながらふと、空を見上げるとそこは綺麗な茜色に染まっていた。 向こうの方はうっすらと紫色に染まりかけていた。 まるで紫色に追い掛けられているように見える茜色の空のように、追い立てられるようにして瑞希は少し足をはやめた。 瑞希は明日、つまり土曜日の計画を頭の隅でたてながら……。 前へ |次へ |
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