《MUMEI》
土曜日と再会
自分の家を10時に出た瑞希は“ある場所”に向かっていた。




土曜日ということもあってか、朝から小学生位の子供達が走り回っているというなんとも微笑ましい光景を見ることができた。



瑞希が目当ての場所も賑やかな声で包まれており、近付いていくにつれその声はだんだんと大きくなっていった。


その場所には……なぜか一度見たことのあるような後ろ姿があった。
その人が後ろ、つまり瑞希のいる方を見ると見事に目が合った。




































彼は、鈴原 雅という言葉こそ交わしたことのない人だが、王室(生徒会室)で必ず見る人物だった。


その時ふと、瑞希の頭の中に映像が流れた。


小さな男の子の後ろ姿が目の前にいる青年と重なる。

……彼の名も、雅と言っていた記憶が瑞希には確かにあった。



「…もしかして、雅くん?」

「あ、やっと思い出したの?」

「やっと、って知ってたの?」

「うん、まぁね」


彼に近付き恐る恐る聞いた瑞希に雅は
少しホッとしたような顔で答えた。


「思い出してくれないんじゃないかってちょっと心配してた」

「ごめん、全然気が付かなかった」

「いいや、思い出してくれたから」


そういうと雅は「ありがとう」と笑って目の前にあったインターホンを押した。




此処は孤児院。

瑞希は孤児院出身で、少しの間だったが雅と過ごしていた。
少しの間というのも雅が来てすぐに雅を引き取りにきた人がいたからだった。


瑞希も色々あって今は一人暮らしをしている(一軒家)。



雅がインターホンを押して数分後、少し老いた優しそうな顔つきのお婆さんが出てきた。


彼女は二人の姿を見て、嬉しそうに顔を綻ばせた。

思わず、その笑顔を見た二人も頬を緩めてしまう魔法のような笑顔だった。

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