《MUMEI》
プロローグ
私が最期に見たものは、喜びに歪んだ両親の顔だった。


よりによってこの顔を見てしまった自分を後悔しながら静かに、あらがうことなく私は目を閉じた。




















次に目を開けたのは私の中ではあまり時間がたったようには思えなかった。


何もないので自分が目を開けているのかも実際には分からないことだった。



全ては“無”に覆われていた。


色もなく上も下も分からない、なにかにおうわけでもなく、自分は立っているのか座っているのかも分からない。


なんとも奇妙な感覚だったが、それよりも“無”が怖くなった。


何もない世界が。


私には___

   _____怖くて仕方がなかった。



私は自分がこうなるまでを振り返ってみることにした。
つまりは、終わったはずの人生の振り返りである。

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