《MUMEI》
第二章
〜ラン〜
(駄目だ、やっぱりドキドキする…心臓の音がうるさい…)ランは世界でも数少なくなってしまったヒトネコだった。ランにはどうしても思いを伝えられなかった相手がいる。だがそれはヒトネコではなく、人間だった。ヒトネコが人間と恋をするのはヒトネコを絶滅の危機に近づけているのと同じことーーー。ヒトネコの存在は人間に知られてはいけない。だけど、ランはもう一度自分の目で確かめたかった。ーーー私は本当に人間に恋をしているのかを。その相手が、タクヤだった。ヒトネコのランは幼稚園児の頃、初恋をした。優しい笑顔と甘い声を兼ね備えた素敵な男の子。ランは幼稚園児ながら、前にどこかで会った気がしてならなかった。
「お前はヒトネコだよ」
ある日母親だと思っていた人から告げられた、あまりにも重い事実。そうしてランは、タクヤがいる幼稚園を去ることにした。初めはヒトネコと人間の関係を甘く見ていたランだったが、過去にヒトネコが人間にばれて、残酷な殺しあいになった事件もあったというのを知り、二度とタクヤには会わないことにしたーーーー。
現在。ランの住んでいる近くの人間の中学校にタクヤがいるという噂を聞きつけ、すぐにこの中学校に入ることにした。ー

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