《MUMEI》

実に子供は元気である。


「ねーねー、瑞希お姉ちゃん!!おままごとしよー!」

「雅お兄ちゃんもー!!」


無邪気な彼らの姿は、自分達がずいぶん老けたんだなと思わざるを得ない光景だった。


「いいよ。役はどうする?」


瑞希の質問に女の子達は顔を輝かせ始めた。


「…うーん、じゃあ瑞希お姉ちゃんはお母さんで雅お兄ちゃんはお父さんね」


その言葉に瑞希と雅は顔を見合わせた。
二人がこの中での年長者だから間違いではないのだが。


「よし!やろう!!……じゃ、お父さんが帰ってくるところからね!!」


そうして雅と瑞希達のおままごとならぬ一寸劇が幕を開けたのである。



「…ただいま」

「…お帰りなさい……」

「ストーップ!!」


始まって約20秒でストップをかけられた。
いつからおままごとがドラマみたいになってるんだろう。


「まず!お父さんは元気無さすぎ!!お母さんは疲れムード出しすぎ!台詞も新婚さんがよく使うアレみたいなのにして!」

「「……はい」」


そして二回目。


「ただいま」

「お帰りなさい。…ご飯にする?お風呂にする?」

「あ、…じゃあご飯で」


「ストーップ!!ストップ!」


またもや止められてしまった。
今度はなんだろうか、と瑞希と雅は次の言葉をまった。


「お父さん!お母さんに言われてはい、そーですか。ご飯がいいです、なんて面白みがない!もっと冗談交えて!」


そして三回目。


「ただいま」

「お帰り。ご飯にする?お風呂にする?」

「……今夜は早めに二人で寝ようか」

「…冗談キツいです」


「はい、ダメー!!」


雅の言葉は多くの苦悩の末に出したものだったのだろう。
言うまでの沈黙が長かった。


「お母さんははずかしがらずに!お父さんはもっと自信ありげに!」

「「(あ、内容はOKなんだ)」」




というのが十数回続き、二人は床に倒れこんだ。


「ねー!次は鬼ごっこしよ!!」


というわけで瑞希の思考は話しの冒頭へ戻るのだった。

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