《MUMEI》

「今日は本当に助かったわ。ありがとうね二人共」






時間が過ぎるのも早いものですぐに日が沈む時間となっていた。


美穂さんの笑顔に二人も笑顔で返しもと来た道を今度は二人で帰っていった。




「…美穂さん、変わってなかったね」


喋りかけたのは雅だ。


その雅の言葉に瑞希は「美穂さんが変わるわけないよ」と返してニコリと笑った。


「そうだね」と雅も返してからふと、思い出したように瑞希の方を向いた。



「え、何?」

「…名前」


「が?…うん、え?」


「学校でも下の名前で呼んでよ」




すこしの間瑞希は唸っていたがやがて、「雅先輩と敬語無しで勘弁して下さい」と言った。


「うーん、下の名前で呼んでくれたらもっといいんだけどなー……うん、まぁそれでもいいよ」



残念そうに笑った雅に瑞希も苦笑いで返して足を止めた。


もちろん瑞希が足を止めたら数歩後ろを進んでいた雅も足を止める事となる。



……どこの執事だろうか、と瑞希は呆れる思いで雅を見た。


「じゃあ、ここで帰るね」

「気を付けてね、瑞希ちゃん。…また明日」

「雅先輩も、ね」




そう言葉を交わすとどちらからともなく違う道を進んで行った。

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