《MUMEI》

いきなりだが私の兄二人はカッコいい。


名前は陽壱と陽兎で同じ『陽』がつくが読みは『よういち』と『はると』でだいぶ違う。


二人は美形で性格も美形(?)だ。


元々、「陽壱さん」と「陽兎さん」で呼んでいた私が「ヨウ兄さん」「ハル兄さん」と呼ぶようになったのはまだ陽向が入院生活を送っている中頃の事だった。



その時はちょうど部屋の中も退屈になってきていて、散歩に出よう。と思いつきの行動で外に出たのが原因だった。


木漏れ日が降り注ぐ病院の中庭を歩いていた私は、あろうことか怖いお兄さん(笑)達にぶつかってしまった。


「あん?いってーな。どうしてくれんだよ」

「すみません。こちらの不注意でした」


幼児とは思えない落ち着きはらった態度に面食らった表情をしたお兄さん達はすぐにニヤニヤと嫌な笑みを浮かべた。


「あぁ?んなので済むわけねぇだろ」

「…っ……ちょ、離して下さい」


お兄さん達は私を囲い、私の腕を強く握った。
思わず顔をしかめてしまった。


「い、痛い……です」















「…弱い者いじめは感心しないなー」

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