《MUMEI》
第七章
それきりお婆様は黙って、キッチンの棚の上から熱々のホットケーキを持ってきた。「お食べ。」ランは教えてくれないもどかしさに少しいらつきながら、ホットケーキを食べ始めた。「……美味しい!」ランは思わず笑顔になって言った。するとお婆様はニコッと笑って言った。「お前の母親はその笑顔が見たくて罪を犯してしまったのじゃよ。」「え…?」

〜タクヤ〜
ランは電車の乗り換えを繰り返し、ある家に入っていった。(なんか俺、ストーカーみたいだな…)タクヤは苦笑いした。俺もそろそろ帰るか!タクヤはしばらく携帯をいじっていたが、そのまま帰ることにした。すると。「タ、タクヤ君?!」声がする方を振り返ると…「ラ、ラン?!」ばれた。タクヤは一瞬にして顔から冷や汗がつたっていくのが自分でも分かった。ランは少し戸惑ってから、「わ、私急いでるんで、ま、また!」と噛みまくりながら走っていった。タクヤは驚いて、しばらくその場に突っ立っていた。

〜ラン〜
母の家に秘密がある!早く行かないと! ーーーー『お前の母親が学生だった頃の話をするかの。…お前の母親の初恋の男、お前は知らないだろう?』「うん」『お前の学校に、タクヤという男がいないか?』「…い、いるいる!同じクラス!」『その男の父親じゃ。』「は?!でも、人間じゃ…?」『そうなのじゃ。ヒトネコが人間に恋をするということはあってはならないことなのじゃ。だが、お前の母親はそれを承知で告白した。』「好き…って?」『ああ。そして、付き合うことになったのじゃ。まぁ、お前の母親の若い頃のルックスだけは良かったからな。』「へぇ〜!」『しばらく経って、男から別れよう、と言われたのじゃ。そして後ろには他の女がいた。その女は…』「その女は…?」『お前の母親がヒトネコだと知っている友人だったのじゃよ。』ランは一瞬目を見開いた。「えっ?!人間にヒトネコの存在を知られてはいけないんじゃ?!」『その通りじゃ。だが、その女はヒトネコという生物をすでに知っていたのじゃ。』「え?!何で?!」『…もうこれ以上話すことはできない。食べ終えたら帰るのじゃ。』ランは諦めて帰ることにした。『待て。』「ほぇ?!」『一つだけ教えてやろう。解決のヒントはお前の母親の家にあるのじゃよ。』

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