《MUMEI》
第八章
息切れするほど走ったランは、角を曲がったところで止まった。「はぁ…はぁ…はぁ……。」なんでこんなところにタクヤ君がいるのか分からなかったが、ランは息を整えて母親の家へと向かった。

『これがお前の母親の家の合鍵じゃ。』そう言って渡された鍵。(なんか懐かしいなぁ…。小学5年生以来、この鍵見てないもんなぁ…。)母の顔を思い出したランは、申し訳なかったな、と今更ながら感じた。

〜タクヤ〜
あぁ、ビックリした。ランに見つかっちゃったよ…。なんで走って行っちゃったのかな?『ポツ、ポツポツポツ……』あ、雨降ってきちゃった。駅で雨宿りして帰るか。また無駄なお金使っちゃったなぁ、と苦笑いして、駅へと向かった。その時、お婆様が家の窓からタクヤを見つめていたーーー。

〜ラン〜
「お久しぶり、私のおうち!」ランは思わず声に出して言ってしまった。やっと着いた。私の母の家!ランは自然とウキウキしていた。宝探しの要領で答えを見つければ良いんだよね。よし、頑張るぞっ!ランは腕捲りをして、家の鍵を開けた。
「うわっ!何これっ!」ゲホゲホと咳き込んだランが入った家の中は、変貌していた。蜘蛛の巣があちこちに張られ、ホコリが溜まっている。ランはとりあえず家の掃除をすることにした。『ウィーーン、ウィ、ジジ、ジジジジジ……ガキョッ』壊れた。昔から私の母は掃除を使わない。ってことでこのままじゃ掃除のしようがない……。「もう!しょうがないなぁっ!」ランは半分叫ぶと、掃除機のフィルムを取り出し始めた。「うわぁ…。すごいゴミ…。」ランは親指と人差し指の2本でフィルムを持つと、異変を感じた。「ん?なんか入ってる…。」我慢してフィルムの中から紙らしき物を出すと、『ランへ』と書かれた封筒が入っていた。(!)答えってこれか!部屋が汚い→掃除する→掃除機壊れる→中を見る→封筒が入っている!「…よく考えるなぁ」ランはあははっと笑うと、封筒を開いた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫