《MUMEI》
第九章
「うそ……。」ランは手紙を読んで固まってしまったーーー。
『ランへ
ラン、お久しぶり。もう3年間も会ってないね。ランの元気な姿、最期に見たかったなぁ。まず、お母さんのやってしまった罪について話そうと思います。いきなりだけど、お母さんの夫、ランのお父さんのこと。お父さんはヒトネコじゃなくて、人間だってこと。ヒトネコの世界では、ヒトネコと人間が恋をすることは禁止なんだよね。でもお母さん、好きになっちゃったからさ。その相手が、ランの好きな男の子、タクヤ君のお父さんなんだ。タクヤ君に聞いてみたら分かると思うけど、タクヤ君、お母さんがいないんだよ。タクヤ君とランは私の子供って訳。なんかごめんね。ヒトネコと人間の子供だから、タクヤ君は人間寄りで産まれたんだ。だから人間のお父さんの方にタクヤ君、ヒトネコのお母さんの方にランを、ってことになったの。あと、もう一つ秘密にしてたこと。ランのお婆様、ヒトネコの中でも絶命したと言われてる、魔女なの。ほら、お婆様、勧が鋭いでしょ?あれ、魔女だからよ。最初お母さんも聞いたときビックリしたけどね。だから、ランにもその力があるんじゃないかって、ランが幼い頃にヒトネコの世界で話題になっていたのよ。だけどランの身になにも起きないから、魔女じゃないなって話になったの。最後に、私が犯した罪。ヒトネコは人間をひがんでは駄目よね、悪魔が憑いちゃうから。なのに私、タクヤ君の友達のアキラ君をひがんじゃった。何でランの恋は実らないでアキラ君の恋は実るのって。おせっかいだよね。ヒトネコの世界では、人間をひがんだら処刑されるから、お母さん明日罰せられるんだ。死刑。涙なんて出ないよ。お母さん泣かないってランが小さい頃、約束したもんね。ただ、これだけは言わせて。 ラン、タクヤ、大好きだよ。
お母さんより』

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