《MUMEI》
第十一章
「ラン!しっかりしろ!」タクヤが何度呼びかけてもランは返事をしなかった。「ランっっっっっ!!!!!」タクヤが叫んだその瞬間ーーー。どこからか、眩しい光が現れた。「う、眩しい…」タクヤが目を瞑った瞬間、ランの中に光がめり込んでいったーーー。

「……んん…。…ん?あれ?何で病院?」ランが目を覚ますと、横に2人の男が座っていた。「やっと起きた!」タクヤの隣で見知らぬ男がこちらを見ている。「あなたは…?」「ああ!俺のお父さんだよ!心配だからって、見に来てくれたの!」(お父さん?!タクヤのお父さんってことは…私のお父さん…?)「お父さん…?」ランはハッとした。(しまった!タクヤ君がいるのに…!)ランは顔が真っ青になった。すると男はニコッと笑って言った。「なんだい、ラン」「「!?」」「もういいじゃないか。ランは魔女としての力を発揮したんだから。」「え?ちょ…」「お父さん!どういうこと?何が何だか…魔女って?」タクヤは頭の中が混乱して、質問責めしている。「落ち着けって。お父さんが1からお前たちに説明してあげるよーーー。」

『人間が生まれる前、ヒトネコという生物が世界中に住んでいて、魔術などを発達させていたんだ。だが、人間が生まれる回数が増えるにつれ、魔術は衰え、今では魔術を使える魔女は少なくなってしまったんだよ。ヒトネコが恨んで人間に憑いた悪魔を取り払えるのは魔女だけ。ということで、ヒトネコのせいで人間に悪魔が憑いたら罰せられるという規則が出来たんだ。アキラ君はランのお母さんのせいで悪魔に憑かれちゃったから、罰せられた。僕も驚いたけど、ランはやっぱりお婆様の魔女の血を受け継いでるね。さっきのアキラ君の悪魔はランの力で消滅したんだよ。それでーーー』
タクヤとランは次々と展開されていく話の一つ一つに驚いていた。「ってことは、ランと俺は兄弟ってことか…?」「うん。」ランは決心した。何もかも全部正直に話そうと。「実はね、私、タクヤ君に言いたいことがあるの。幼稚園児のころからずっと。」「ん…?」「私、ずっと前に会ったことがあると思ってた。ずっとタクヤ君のこと忘れられなかった。…私、タクヤ君のこと好き…。」「俺もだよ。」ランはあまりに早く返事が帰ってきたため、声も出せずにいた。「俺もそう思ってた。ずっと前に会ったことある気がするって。やっぱり家族だからかね。」

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