《MUMEI》 『家に来られて、妹っちゃう♪』【ひとり暮らし1年生の頃の話】 時刻は、午後2時! 俺は後5分程でこのオンボロアパートに到着する “3人の妹たち&母親" のために――ひとり暮らし男子特有のきったない部屋を、ひとり暮らし男子特有の掃除方法で綺麗にして待っていた! 俺「床に散らばる衣類を、ベッドの下に押しやり……食い終えたカップ麺の残骸や飲み終えたペットボトルを、部屋の隅っこにでも押しやれば……男掃除完了!」 『ピンポーン』と玄関のチャイムを鳴らすのと同時に、ドアを開けた妹たちが―― 長女(7歳)「うわ、臭っ!」 二女(5歳)「鼻まがる〜!」 三女(3歳)「ゲホっゲホっ」 母親(4●歳)「おまえの臭いがする。要するに、臭い」 ――鼻を摘みながら入ってきたのは、言うまでもなく。 母親「この魔窟を、人間が入れる状態にしてやるから、それまで外で妹たちの面倒見てろ」 そう言って掃除機を構えた母親に家を追い出されたこの魔掘の主は、アパートの階段で遊ぶ妹たちの面倒を見ていた。 長女&二女&三女『葉っぱさーん! こーんーにーちーわあああ!!』 俺「近所迷惑だからっ!」 民家の木々に対する挨拶も忘れない礼儀正しい妹たちを持ったことに感心しながら、今度はご近所さんに対する礼儀も教えようかと思った。 二女「にいちゃん、この階段ボロだよ! 走っただけでドタドタ地震が起こるよ! ドタドタッ!」 俺「近所迷惑だからっ!」 階段もといアパートの住人に震災を巻き起こす二女。彼女がドタドタッ階段を上り下りするたび、俺の心臓にもドクドクッ震災を巻き起こした。 三女「うわあああん! ぷりきゅあ、おっこどちちゃったああ!」 俺「階段から人形おとしちゃったのねっ、いま取ってくるから泣き声のボリューム落として待っててねっ! 近所迷惑だからっ!」 彼女に取っての泣き声は、アパートの住人に取っての騒音であり、俺に取っての冷や汗だった。明日あたりご近所さんにお詫びの品、配って回らないと……。 それからしばらくたったあと、魔掘を綺麗な家になるまで掃除してくれた母親に「ありがとう」を言いながら家に入り、みんなでトランプをやることに。ゲーム内容は『ダウト』。 長女「このカードは10っ――…」俺「ダウト♪」 二女「これは7っ――…」俺「ダウト♪」 長女「む〜っ、何で兄ちゃんは、私たちのうそがわかるの〜?」 俺「はっはっは、お兄ちゃんには第三の眼がついてるんデース。おまえたちの手札はお見通しナノデース!」 妹たちの表情を見分ける眼をつけたお兄ちゃんに取って、絶対有利なこのゲーム。いまこそお兄ちゃんたる由縁を見せつけるときデース。 俺「じゃあ、つぎは俺の番だな! このカードは2――」 母親「ダウト」 俺「――へ?」 母親「悪い、こっちには第四の眼がついてるんだわ」 結果的に、俺の表情を完全に見分ける眼をつけた母親の絶対有利なゲームとなった。なんだか母親たる由縁を見せつけられたような気がする。ぐやじいィィー! 写真:『妹の三連星』 http://www.fastpic.jp/images.php?file=7319652423.jpg 元魔掘、現綺麗な家で撮った妹たちの集合写真。帰り際「つぎ来てくれんのはいつになるのかなあ」などと、ちょっとホロ苦い思いをしながら撮った写真。 しかしそんなホロ苦い思いは、帰りぎわ妹たちを車まで贈りに行ったときに解消された。なぜなら―― 俺「…じゃ、またねー」 母親「来ないの?」 俺「…は? なにが?」 長女「ウチにもおいでよー」 三女&二女「おいでよー」 俺「………」 ――思わぬサプライズに見舞われて、すこしウルウルしちゃったからだ。 俺「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます」 母親「あいよ」 妹たち『やったー!!』 そのあと妹の家で、11時まで遊んだ。母親に「寝る時間狂った。やっぱ呼ばなきゃよかった」と怒られたのは言うまでもなく← 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |