《MUMEI》 行事1と水泳いよいよ夏も近付いてくる6月下旬はやはり暑い。 もう半袖のシャツに切り替えている人が大半である。 瑞希はまだ長袖なのだが。 この季節となれば始まるのは水泳。 恐らくこの行事(?)を喜ばないのは瑞希位のものだろう。 水泳は学年から2クラスずつ入る事になっていて、これこそが瑞希を憂鬱にさせている元凶である。 入れるクラスは常にくじ引きで決まる。 そして今回決まったのが瑞希のクラスでもあるD組と王子達のいるS組だったのだ。 絡まれる事は目に見えている。 「結菜ちゃんー?時間だよー」 「うん!」 「…あ、」 「……げ」 「瑞希〜!!」 「はぐぅ!?」 女子にあるまじき声を出してしまった瑞希だが、誰でもお腹にいきなり猛スピードでぶつかられればそんな声もだすだろう。 つまり、瑞希は結菜に見つかりお腹に抱き付かれた(正しくはぶつかられた)のだ。 「…ゆ、結菜」 「ん?」 満面の笑顔で瑞希を見つめる結菜は可愛い。 「…取り合えずさ、廊下を走るのは止めよう。…うん、そうしよう。ね?」 「う………で、でも瑞希見付けたら嬉しくて…つい」 ゴニョゴニョと呟く結菜はやはり誰の目から見ても可愛い。 大事なことなので二回言った。 「走らなくても私は逃げないよ(見つかる前に全力で逃げる)」 「うん……そうだよね!ごめんね」 そういって上目遣いで見てくる結菜の頭を「分かればいいよ」と瑞希は一撫でし、結菜と二人で更衣室に向かった。 前へ |次へ |
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