《MUMEI》
第二章
あれから私は中学の最後に退院した。


本当ならもう少し入院していた方がいいと言われていたが、両親と兄二人がせっかくの学校生活だから高校くらいは行かせてあげよう。と言ったらしく私は今年から雲雀丘高校の一年となることになった。


高校生となった陽向は身長こそ大分低いが整った顔立ちに透き通るような全く日焼けのしていない白い肌にクリッとした黄色っぽい瞳を持つ綺麗な女の子へと成長していた。


雲雀丘高校は寮での生活になるので病院から直接行くこととなった。


薄いベージュの袖口が絞られたセーラー服に薄いベージュ色のフレアスカートという制服に陽向は首から銀のチャームがついたネックレスをかけている。


ネックレスは能力制御用のものだ。

能力持ちというものは何か妖怪などにとって美味しそうに感じる匂いが出ているらしく、その危険から陽向の身を守るためにつけられたものであるらしい。


制服を身に纏った陽向はやはり可愛い。
これも私が転生したから言える事なのだが。


そこに病室の扉の開く音がした。


顔を扉の方へ向けるとそこにいたのは陽向と同じ雲雀丘高校の男子用の制服を着たヨウ兄さんとハル兄さんだった。


「おぉー、やっぱりヒナにはよく似合うねー!」

「…わっ……」


いきなりヨウ兄さんに抱き付かれ後ろに倒れそうになった私をハル兄さんは支えてくれた。


「大丈夫?」

「はい、ありがとうございます」

「ソレ似合ってる。……可愛い」


ハル兄さんはふっ、と笑みをたたえてそう言った。
普段から慣れていないと顔を赤くしてテンパってしまうだろう。絶対。


改めてこうして見れば二人ともすごく大きい。
なぜかこの双子は妹離れというものをせず、いつまでもシスコンのままである。


「さて、行こうか」


いつの間にか習慣となってしまっている私が歩くときのヨウ兄さんの癖である手を握る行為を拒むことなく受け入れ、三人は病室を後にした。


約10年間ここで過ごしてきた為、少し愛着心がわいてしまったらしい。

私は少し病室を振り返り、最後まで笑うことなくそれでいて今までで一番穏やかな表情を残し長い廊下に目を向け直した。


その廊下には3つの靴音だけが響いていた。

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