《MUMEI》

タクシーに揺られながら私は兄さん達に学校の説明を受けていた。


ちなみに私は真ん中の席に座っている。


「あ、知ってます?事故が起こった時後部座席で一番死亡率が高いのって真ん中なんですよ」

「えぇ!?危険じゃん!」


騒ぎすぎです。


「落ち着け、ヨウ」


ハル兄さん、もっと言って下さい。


「ヒナは俺が守るから」


あ、そういう事ですか。
まぁ、こんな話をしても終わりがこなさそうなので私はヨウ兄さんに説明を促した。


「ウチの学校は一般人に混じって能力者も通えるところなんだ。……あ、ヒナは僕らの妹だけど力を持ってないってことになってるから」


「文化祭に他の能力者達が通える高校と一緒にするから馬鹿デカイよ。…で、でかすぎたから寮も作ったらしくって4つにわかれてるんだけどね」


「…一般人と能力者と生徒会や風紀委員スタッフ、そして生徒会、風紀委員幹部、委員会長、クラブ会長ですか」

「うん、そう。流石僕らの妹」


「ヒナは色々と危ないから僕らと同じ部屋になるんだ、ごめんね」

「いえ、全然構いません」


ほっとしたような笑みを浮かべてヨウ兄さんは窓に目を向けた。


「あ、ここ。雲雀丘高校」

「………」


私はその方向をみて固まった。


「大丈夫?皆最初はこうなるよ」


そういってハル兄さんは私の頭をポンポンと叩いた。
あまりにその校舎が大きかったのだ。


「あ、ここでいいです」


あまり生徒達の目につかないところに停車してもらい、ハル兄さんから順に降りていった。


学校の近くなので私達と同じ制服を着ている人が多い。
だが、その制服の襟には違う色のバッチをつけている人がいる。

そのバッチをじっ、と見つめていたらハル兄さんが説明してくれた。


「あれは学年ごとに違う色をつけるんだ。ネクタイが皆黒だから。一年はヒナもつけてるけど赤色。二年は紫、三年は黒で俺達みたいな生徒会役員とか風紀委員幹部とかその他一部は金とか銀とか銅とかの装飾がつくんだよ」


「へぇ」と相槌を打ちながら兄さん達の襟を見ると、ヨウ兄さんは金、ハル兄さんは銀の装飾がついた紫色のバッチをつけていた。

ヨウ兄さんは生徒会でハル兄さんは風紀委員なのでそのバッチは覚えておこう、と目に焼き付けた。

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