《MUMEI》
テストと問題
現在王室(生徒会室)はひとつの問題に直面していた。


「…なんで私も巻き込まれてるんですか」


そう不満そうに呟いたのは瑞希である。


そこで全員の視線は一人の男………翔に向けられた。
全員から見られ翔は少したじろいだ様子で「な、なんだよ…!」と言った。


声を上げたのは諒だった。


「…いい?これは危機的状況だ。今まではまだ家の名前のおかげで進級出来てたけど、やっぱり生徒達の見本たる俺達の一人である翔が勉強で学年最下位から数えて13位というのはあってはならないことだよ」

「は、はぁ!?それでなんで赤城がいるんだよ!まさかコイツに教われって
か!?」


その翔の言葉に瑞希は心の中で「大人になれ…大人になるんだ」と念じ続けた。
だがピクピクと動く瑞希の拳は「こいつを今すぐ殴りたい」とものがたっていたのだが。

そこで諒は「あのさ」と妙にニコニコしながら翔を見た。


「俺はさ、別に一位になれとかいってんじゃないの。お前の成績が平均位以下っていうのが問題なんだ、って……言ったよな?」

「は、はいぃ!」


これが諒の裏の顔である。


「あぁ、そう言うことか。…つまり諒は私が平均の成績だから私という見本が必要だったと」

「…うん、そう言うことだよ」


まだ余韻が残っているため少しこわいが諒はさっきとは打って変わって穏やかな笑みを浮かべている。


「…で?翔の…小テストとかあるの?」

「あぁ、ここに」


雅に問われた諒がそういって取り出したのは数枚のテスト用紙らしきプリントだった。
どうやって手に入れたかは敢えて聞かない事とする。


「瑞希、地球は公転と自転をするけど公転の説明をしてもらえる?」


いきなり言われたことにおどろいたが瑞希は淡々と答えた。


「地球が一年をかけて太陽の周りを一周すること」

「うん、そうだよね。……翔」

「はっ、はい!!」


「翔」と言った部分があまりにも冷たい声だったため翔は飛び上がった。


「…後ろ向きに一回転すること、って……何?」

「ぷっ!…翔、公転を後転と間違えてんの」

「あぁ!?テメー!!」


「…翔」

「…はい」


翔を挑発したのは雅だった。
翔が下手に動けないのでやりたい放題である。


「翔、木材の組織を調べる際に使った木材の名は?」

「えっ?…バルス材?」


その言葉にまた雅は吹き出した。
よく見ると優斗の肩も震えている。


「バ、…バルスって滅びんのかよ……バルサ材だし」


「と、言うわけで教科分担するぞ。まず蒼は数学、優斗は国語で、雅は地理、瑞希が英語で、俺は歴史」

「私は?」

「結菜がいると翔が緩むからダメ。自習しといて」


諒にそう言われ結菜が渋々頷いた。


「じゃ、放課後開けといて。ここに集合ね」


今更瑞希がどう足掻いても無駄な気がするので諦めてトボトボと教室へ戻った。

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