《MUMEI》

放課後になった。

俺達は別に毎日放課後集まっているわけじゃない。

二ノ宮春樹は部活に行くし、一条優香も忙しそうだった。

だから今日の放課後は自然に帰宅モードになっていた。


俺は宮内さくらを呼び出し、教室に残ってもらっていた。


「どうしたの?私に何かよう」

「少し聞きたいことがあってさ。
単刀直入に言うと、学校で悪さをしている奴がいる、という話しを聞いたことはないか。もっと具体的に言うと、物を盗んだりする奴がいると言うことを聞いたことないか」

「そんな話し聞いたことないよ。何か盗られたりしたの」

「いや、俺は別に盗られたわけじゃないんだ。委員長なら聞いていると思ったんだが。
まぁ聞いたことが無いならそれでいいんだ。それじゃあ」

俺は帰ろうとクルリと回転し教室を出ようとした。

しかし後ろからさくらが俺の腕を掴んで来た。

「ねぇ何があったか教えてよ」

−−ズルイぞ。やめろ、その上目使いを。かわいい、かわいすぎるぞ。はぁはぁ、さくらたん………腕を離してくれよ、いやもう少しこのままが良いか。はぁはぁ。

って俺は何を考えているんだ。

「分かったよ。話すから」

−−俺って美人に弱いよな。男ってそんなもんだろ。と、ひどくありふれた文句を頭に浮かべながら俺は話し始めた。

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