《MUMEI》
決心
「宏...宏...宏ぉぉ!!」

互いに腰を振って
互いをぶつけ合う。

「ぁ...駄目だイけねぇ...!!もっと、もっと来いよ!!」

「はぁっはぁっもう精一杯だよぅ...ァ!!あん...んぅ...やっん」

「何でだよ...何でイけねぇんだ...」

気持ちが乱れすぎてて
イけねぇのか?

こんなに感じてるのに、
何でイけねぇんだよ。

このイけない感じが
もどかしくて嫌になる。

「くそ...っ、早くイけよ俺...!!」

ずちゅずちゅずちゅ

「やんっ!!痛い!!宏...痛いよ...!!もう許して...ぁあんっ...!!やだ...ァ...!!」

ずちゅずちゅずちゅ
ずちゅずちゅずちゅ

イけねぇ...
イけねぇイけねぇ。

イけないのが
こんなにも苦しい事
だったなんて。

いつも、
オナニーする時だって
怜子の事を考えたら
すぐにイけた。

男とシてた時だって
怜子のマンコだと
思ったらすぐイけた。

こんなにイけないのは
初めてだ。

俺は動きを止める。

「...宏?」

いきなり止まった俺に
心配気な声がかかる。

「...何でだよ、怜子。俺は...こんなに怜子を愛してるのに...何で...」

もはや
すがりつくような
そんな気持ちで言う。

「...宏。ごめんね、ホントに...灯呉を裏切れないの...。何度も言わせないで、私も辛い」

「...なぁせめて、もう少しだけ...俺とセックスしてくれよ」

「...え?」

「怜子、言っただろ?俺が好きだって。...でもそれはセックスの相性が良かっただけで勘違いしてるのかもしれないって」

「...うん」

「...だからさ、セックスだけが俺の点数稼ぎポイントだと思うんだよな」

「...っ、そんな事...!」

そんな風に
否定すんなよ...。

勘違いするだろ。

優しさとか
いらねぇんだよ。

俺を切り捨てるなら
切り捨てろ。

ただ...俺にも
時間が必要だ。

一日や二日で
“はいそうですか”
と言える程
良くできてない。

だから時間をかけて、
怜子を
嫌いになってみる。

怜子からポイントを
稼ぐと見せかけて、
俺は怜子を諦める
準備をする。

どうせ怜子は
俺を好きにはならない。

ここまで覚悟を
決めているのだから。

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