《MUMEI》
prologue(1)
〜とある荒野にて〜
崖の上に、一組の男女がいる。
「うーん、緊張するねぇ」 「その割りには余裕に見えるわね」
「そうでもないよ。ここまで来たらもう開き直るしかないってだけだよ」
「あら、そう。……ちなみにあなた、忘れてないわよね?私達の約束を」
「………もちろん覚えてるさ」
「間があったように感じるのだけれど気のせいかしら?」
「わざとだよ。わ・ざ・と。あぁ、拗ねないで。ごめん、ごめんってば!」
「じゃあ言ってみなさいよ」
「この世界を精一杯生き抜くこと。そして満足するまで生きることができたら……俺がお前を、お前が俺を殺して生を終える、だろ?忘れるわけないじゃないか」
「まさか本当に覚えていたなんて……驚きだわ」
「ひどいな。そんな風に思われてたなんて……ダメだもう立ち直れないや」
「うふふふ。嘘よ、う・そ。さっきの仕返しよ」
「うわあぁちくしょう、かっこ悪いじゃんか……」
そうのん気に談笑する2人だが、彼らの視線は常に前方を向いている。なぜならそこにはこちらへ向かって砂煙をあげる大軍があるからだ。そして両者は対峙する。

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