《MUMEI》
Second Lesson-自室で私と執事と愛犬2匹
「…で、ここが私の部屋…」
 フローラたちの住む屋敷には東館と西館に分かれており、彼女の部屋は東館の3階にある。
(異性を自分の部屋入れるのはイヤだよぅ…)
「先に入って…」
「…」
 フローラは部屋のドアをそっと開けた。しかしレオンは部屋に入ろうとしなかった。どうやら何か抵抗があるようだ。
「………?」
 どう言えばわからない。仕方がないから目で訴えることにした。
「…失礼します」
 レオンは察してくれたらしい。
 2人は部屋の中に入った。
 フローラの部屋の中はピンクと白を基調とした家具が並べられていた。彼女のベッドの上では白と茶色の小犬が気持ちよさそうに昼寝をしている。
 2人で部屋のソファーに腰掛けてた。
「あの…」
「どうかしましたか?」
「どう呼ばれたいですか?」
 フローラは恐る恐るレオンにきいてみた。
「呼び捨てなり、何でも構いません」
「はい…」
(どうしようかな…)
「じゃあ…」
「?」
「レオンさん?」
「何ですか?」
 レオンは微笑みながらフローラに返事をした。
「…失礼なことになるかもしれないですが、レオンさんって何歳ですか?」
「私は18歳です」
(やっぱり年上の人だったーっ!)
「ごめんなさい。やっぱり失礼でしたよね…」
「相手が女性なら失礼にあたりますが、私は男ですよ?」
(優しい人で良かった…)
「他にききたいことがあれば何なりとどうぞ」
(そうだな…)
「いつも自分自身のことをどう言っていますか?」
「“俺”と言っています。そう言うと相手にタメ口を使いがちになりますが」
「その方がいいです…」
 フローラにとって自分専属の執事は初めてで、どう対応していいかわからなくて、ぎこちない態度しかとれなくなってしまう。
(どうすればいいのかな…)
「きゃんっ!」
 執事への対応に頭を抱えていると、ベッドの方から小犬の鳴き声がした。その鳴き声の主である、トイプードルよりさらに小さい白いプードルが、フローラとレオン方へよちよちと歩きながら寄って来た。
「レオンさんって犬とか大丈夫ですか?」「あぁ」
「バニラ、おいで〜」
 バニラと呼ばれたその白い犬は嬉しそうにフローラの膝の上に飛び乗ってきた。しばらくしてレオンの方を見つめはじめた。
「レオンさんのこと気になっているみたい…」
 バニラはレオンの方をじぃっと見つめている。
「バニラだったか、プードルにしては小さすぎないか?」
「バニラだけじゃなくあっちにいるショコラもなんだけど、ティーカッププードルっていうティーカップサイズのプードルなの。だから小さいの」
「そうか…」
 レオンはもう一度バニラの方を見た。バニラはまだ彼を見つめている。
「遊んでほしいのかな?結構甘えん坊だから…」
 レオンはバニラの首辺りを指先でコチョコチョとくすぐった。
「♪」
 バニラは首辺りを触られて気持ち良さそうにしている。
「犬は頭撫でるよりこうする方が喜ぶって知ってた?」
「知らなかったです…。レオンさんって犬飼ってましたか?」
「あぁ。ハスキーを、ね」
「…」
 フローラは幼い時、ハスキーに顔をベロンと舐められて大泣きしたことがある。そのため小型犬しか触られない。
「今頃昼寝してるかな」
 レオンはベッドの上にいる小さな茶色の小犬-ショコラの方を見た。ショコラは気持ち良さそうに昼寝をしている。
 フローラはさっきレオンがしていたようにバニラの首辺りをくすぐってみた。やはり気持ち良さそうにしている。しばらく続けていると…。

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