《MUMEI》 水原 宗明(2)part1<なぜ僕が…と考えるのはもうやめた。時間の無駄にしかならないから> ――――――――――― 山の中を駆けながらふと思う。 (正直驚いた。あんなところにまで僕の張り紙があるなんて。よほど僕を見つけたいみたいだな。さっきは素顔を見られてしまったなぁ。不覚だった。もっと気を引き締めないとね。まぁ街のやつらがあれの前から僕を指差して何か話してたからあんまり意味のない心配かな。ああ、また意味のないことに思考を使ってしまった。なんて非合理的な……ってこういう思考ももう無駄じゃん。うわあ連鎖が止まらないな……。というか、そろそろだと思うんだけど……っと、いたね) 僕は木の上からその男――今回は賞金稼ぎかな?――を見下ろす。なぜそんな職業の人間なのかがわかるのかっていうと、そもそも何の用もないのに入るような山じゃないし、何より服の下に防弾チョッキ着るような一般人いないでしょ?つまりあいつの狙いは僕だとわかる。そこから先は……まぁ直感かな。雰囲気って言って伝わるといいんだけど難しいよね。んで、もうお察しの通り僕は追われてる。僕の首には物凄い多額の懸賞金がかかってるんだってさ。表の人間にああやって気づかせて僕の情報を集め、裏の人間が僕を狩りにくるわけだ。追われてる原因はわかんない。ただ1つ、あの日…家族を失った日だ。皆殺しにされたってことは……僕らの血筋に何かあるか…あるいはお父さんとお母さんに何か関係があるんじゃないかと思う。2人ともいつも忙しそうだったから。よくわからない本を読んでて……って妹は探されてないんだよな…。あの日あそこに死体はなかったもの。だとしたら連れて行かれたのかな……。生きてるなら探しださないと。ならまずは目先の敵をなんとかしなきゃ)そこまで思考すると、僕はゆっくりと木の上をつたい、敵の背後に近づいていった。 前へ |次へ |
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