《MUMEI》
生徒会執行部。
「おはようございます、会長、新斗くん」
7時50分。生徒会室の沈黙を、埜嶋雪美《のじま ゆきみ》が現れたことにより破られた。
彼女は生徒会の会計職に就いている。
ボクと会長はほぼ同時におはようと返した。
「2人とも、冬休みはどうでしたか?」
椅子にコートとマフラーをかけながら質問した。
「ほう、それを私に聞くか」
会長はニヤリと笑った……だろう。見なくても声でなんとなくわかる。
……そういえば、2年ぶりにボクらは逆間の家でクリスマスパーティーを行った。
正直乗り気ではなかったのだが、まさか天草がボクの家にまで押し掛けてくるとは思わなかった。……そして母さんが行ってこいとうるさくてしょうがなかった。
結果、行ってみて楽しかった。やはり逆間の家はボクの予想を超える。この話は、機会があれば話すとしよう。
……………………。
「……ボクは何もなかったよ」
嘘を憑いた。
楽しかったが、この話を今ここでするつもりは全くない。埜嶋は言えば必ず聞いてくる。こんな面倒な話題で業務の時間を削りたくはなかった。
「そう、なんだ」
埜嶋はそう呟いた。そして矛先は会長に向けられた。
冬休み中の出来事を語る会長の顔は、少し暗かった。
「……まぁそれくらいかな。たいしたことはしていない、いつも通りさ。そうだ、埜嶋くんにも仕事はあるぞ。放課後でもいいが、今やっていくか?」
「はい、やっていきます」
会長は埜嶋に書類を渡す。
今日は全員集まらなかったが、一応後のメンバーの名前だけでも紹介しよう。
生徒会書記、雲雀一真《ひばり かずま》。
生徒会庶務、矢雷真紀奈《やらい まきな》。
このメンバーが、ボクら生徒会執行部だ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫