《MUMEI》

side.H


こんなこと久しぶりな感じがする…。


ずっとずっと胸が苦しくて、声を押し殺してずっと泣いていた。


携帯電話を見るのも辛くて視界に入らないよう鞄の奥底にしまった。それでも涙は零れ落ちる。




じきに夜が明けてカーテンの隙間から光が漏れだした。

徹夜で泣いてたんだ。……あまり回らない頭でぼんやりと思う。


親にはテキトーに言って学校は休むことにした。泣いてたせいで顔はボロボロ。精神的にも行きたくなかった。



ずっと部屋に閉じこもっていた。
流石に腹は減るもので部屋の前に置かれた軽食を口にする。何故か食べている最中も涙が流れてきて、もう何が何だかわからなくなってきた。



放課後、心配したバスケ部のスタメン達が寄ってくれたらしいがボロボロの状態で会うのはプライドが許さなかった。
つーか練習しろよ、バァカと心の中で毒づける分、だいぶ回復したのだろうか?




夜になると、やっぱり寂しくなってまた泣いた。携帯には何度か通知がきていたようだが見る気にもならなかった。




なんで初恋がよりによって他校の先輩でイケメンで勉強できて………男で。


高嶺の花だったのだと言い聞かせても諦めきれない自分に腹がたった。




結局次の日も休むことにした。


察しのいい古橋や瀬戸あたりは気づいただろうか?メアド交換した翌日、馬鹿ほど宮地さん、宮地さんと言っていたから。





やることもなくぼーっとしていると夕方頃、インターホンが鳴った。

生憎、親は外出していて家には自分しかいない。居留守しても良かったがなんとなく出てみることにした。





バスケ部の奴らだったらどうしてくれようか……そう思いながら玄関の扉に手をかけた。







.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫