《MUMEI》
疑問。
「これで……終わり、と。埜嶋、後でこれに目を通しておいてくれ」
放課後、今朝の仕事の残りを早々に終わらせ、席を立つ。
「うん、ありがとう」
書類を手渡す。
「それじゃあ、先に失礼する。お疲れ様」
生徒会室を後にする。
向かう先は、部室棟四階、文化室。
「新斗くん!」
後ろから呼び止められた。
振り向くと、どうやら呼び止めたのは埜嶋だったようだ。
「どうした?どこか不備があったのか?」
「そういうわけじゃないよ。ただちょっと気になって……」
「気に……?」
なんだ一体。
ボクだって男だ。そう言われると恥ずかしいじゃないか。
「学園不思議研究部ってところに行くの?」
……大丈夫だ。問題ない。
予想できていた質問だ。
「ああ、それがどうかしたか?」
「いつまで続けるつもりなの?」
……………………。
「やめる予定はないが?」
埜嶋はキッとボクを睨む。
「どんな活動してるかわからないし、私が口出しするような問題でもないけど、生徒会と掛け持ちしてまで行く価値が、あそこにはあるの?」
「……それはどういう意味だ?」
埜嶋は沈黙する。
「生徒会の業務に手を抜いているつもりはないんだが、どこか不満があるのか?言ってくれれば改善する」
ボクが一歩引いて話しても、
「…………」
埜嶋は顔を赤くしたまま何も話さない。
「…………」
なんなんだ、一体。



「ん?あ、新斗ー」
後ろから声が響いた。
この声は、神名のものだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫