《MUMEI》
二章-仲間探し 転入
 ―翌朝。
「目、腫れ上がってるぞ」
 朔夜は咲耶の護衛のため、家に居候することとなった。
「うん…」
 咲耶は昨夜、鬼灯をなくした悲しみで泣き続けた。それが原因で瞼は少し赤く腫れ上がってしまった。寝不足気味にもなってしまって少し瞼が重く感じている。
「学校に行けそうか」
「うん…」
「本当に大丈夫なのか」
「皆勤賞とるためだもん…」
 咲耶は脚を引きずるように歩いて学校へ向かった。



「咲耶おはよう!…って大丈夫!?」
 神無から見た咲耶はとても具合が悪そうだった。
「うん…。昨日のおまじない、きかなかったし、鬼灯死んじゃったしぃ…!」
 咲耶は昨日のことを思い出して泣いた。
「ってことは、また襲われたのね…。誰に襲われたの?」
「…茨木童子…。で、でもねっ、朔夜が助けてくれたよ!」
 神無は、“茨木童子”、その名をきいて眉がピクリと反応した。続いて“朔夜”ときき顔をしかめた。
「神無?顔、強張ってる。何かあったの?」
「…?何も無いよ?」
 神無の表情が緩んだ。
(今まであんな表情したことないのに…)
 咲耶は神無が何故あんな表情をしたのか気になって仕方なかった。
 しかしそうすると彼女の機嫌を損ねるかもしれない、彼女が怒り暴走しかねないので、きかないことにした。彼女は1度起こらせてしまうと警察すら手に負えない怪力で大惨事を起こしてしまうからだ。
「咲耶、もし他の鬼にあったら言ってね?私がその鬼を倒してあげるから」
 そう言って神無は力瘤をつくってみせた。
「ありがと」
 咲耶は彼女の厚意をありがたく受け止めておくことにした。
(なんか席増えてる…)
 チラッと左を向くと咲耶の席の隣りに空席が1つ増えていた。
 ―――ガラッ

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