《MUMEI》

「久世響希」

 オレを呼ぶ冷やかな声。彼が峰津院大和。17歳でありながら、国会議事堂の地下にある、ジプスの局長を務めている。

「セプテントリオンが出現した。向かえ」

 相変わらず人使いが荒い。人間が全員死んでしまって、ヤマトひとりになったら、どう生きていくかなんて、考えたこともないと思う。

「ね…ねえ、ヤマト」
「なんだ?」
「あっ……いや……」

 局長室に戻ろうとするヤマトを、何でもないのに呼び止めてしまった。どう使用もなく考えあぐねていると、ヤマトはふい、と行ってしまう、そういうやつなのはすでに分かっている。
 だからとこのまま無言をつらぬいて、ヤマトに伸ばした手を引くのか?……それは嫌だ。けれど、先にセプテントリオンを倒さなければならない。オレが何よりも先に果たさなければならない使命。

(――必ず倒す。人類のため……ヤマトのため)

 オレは言葉を続けず、ダイチや新田さんと共に東京本部を出た。

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