《MUMEI》

 今日という日も新しいセプテントリオンを倒し、オレたちは東京本部に戻ってきた。
 相変わらずヤマトは、表情ひとつ変えずに「ご苦労だった」と一言だけだった。ダイチはいつも通り、それに不機嫌な態度を見せていた。新田さんは苦笑いを浮かべている。

(あっ……)

 今日のヤマトはすぐ部屋に入ってしまった。もっと顔を見ていたかったけどな。右手に端末を握りしめる力が、少しだけ強くなった。
 ――そうか。自分が行けばいいんだ。さっき呼び止めた理由を言うためにと。
 ――理由?それは…言ってもいいのだろうか?
 だって、告白になるから。
 同性愛者ということを罵られるイメージが浮かぶ。すごい蔑まれる気がする。肌になんか触れさせてくれない、そんなの嫌だ。だけど……。
 でも…やっぱり行こう。当然この世界は守るつもりだけど、もしダメだったとき、ヤマトがどうだなんて元も子もないことになる。なら、いま行くべきだ。
 オレはヤマトのいる局長室のドアをノックした。 

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