《MUMEI》 今日という日も新しいセプテントリオンを倒し、オレたちは東京本部に戻ってきた。 相変わらずヤマトは、表情ひとつ変えずに「ご苦労だった」と一言だけだった。ダイチはいつも通り、それに不機嫌な態度を見せていた。新田さんは苦笑いを浮かべている。 (あっ……) 今日のヤマトはすぐ部屋に入ってしまった。もっと顔を見ていたかったけどな。右手に端末を握りしめる力が、少しだけ強くなった。 ――そうか。自分が行けばいいんだ。さっき呼び止めた理由を言うためにと。 ――理由?それは…言ってもいいのだろうか? だって、告白になるから。 同性愛者ということを罵られるイメージが浮かぶ。すごい蔑まれる気がする。肌になんか触れさせてくれない、そんなの嫌だ。だけど……。 でも…やっぱり行こう。当然この世界は守るつもりだけど、もしダメだったとき、ヤマトがどうだなんて元も子もないことになる。なら、いま行くべきだ。 オレはヤマトのいる局長室のドアをノックした。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |