《MUMEI》
16歳の三倉里緒
私は手紙を受け取ってから一年もすれば、あの事故があった時の山本と同じ歳になる。

私はこの歳になっても、あの事故の整理がつかないでいた。

どうして父は死ななければならなかったんだろう。私の考えはまだ6歳の少女だったころとさほど変わらない。

父は生きられないほど自分を責めていた。
ならどうすれば死なずに済んだのだろう。

何度考えても分からなかった。

父は許された………それは世間からであって父自信が許した訳ではなかった。

だから死んでしまった。

やはり父自信が許せるように、罰が必要だったのだろうか。

−−私は覚えていなかったが、手紙によると父からの伝言というのを山本に伝えたということになっていた。

「責めてくれてありがとう」

もし父が生きているならいかにも言いそうな言葉だった。

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