《MUMEI》
出会い〜偽物の担当者〜
「初めての担当者さん、いつ来るかなぁ〜」
 官能小説家、甘月(あまつき)。本名、白兎 カナ。ちょっぴり小柄かつ色気づいた女子高生。処女作からブレイクし、10作品を完結させた今も衰退の言葉を知らない。
 そんな彼女はパソコンで執筆し、印税で一人暮らしをしている。
「今日もいっぱい届いてる♪」
 カナは仕事道具であるパソコンを開いた。数10件のメールが届いている。
 しかし、どのメールにも書いてあることがある。
「“リアリティが足りない”か…」
 どうも読者達はリアリティの向上を求めているようだ。
 カナは妄想で小説を書いている。自慰をしながら書くこともあるが、初体験はまだの処女なのだ。それだからなのかリアリティがなかなか上がらない。
(どうすればあがるかな…)
 〜〜〜〜〜♪♪♪
(誰かしら?)
 家のインターホンが鳴らされた。頭を抱えるカナのもとに訪問者が来たようだ。
 カナは家の鍵とドアを開けた。そこにいたのは肥満体型の眼鏡男だった。
「甘月先生〜?」
(うわぁーーーっ)
 彼はカナの身体中を舐めまわすように見ている。Fカップの巨乳に目線が集中しているのは気のせいだろうか。
「僕、今日からアナタの担当になります、宇川と申します!」
(この人が私の担当!?)
 今日、カナに初めての担当をつけると編集部がいっていた。
 しかし、こんなキモデブ眼鏡男が担当になるなんて信じたくないし、やる気が下がるが、編集部が指名したというのなら嫌でも彼を受け入れるしがない。
「甘月です…」
(愛想笑い、愛想笑い…)
 カナは笑顔を作ろうとしたが、なかなかうまくいかない。
「甘月先生?顔色悪いですよ〜?」
(お前が来たせいで、な)
「とりあえず、中にお入りください。早速新作の打ち合わせをしましょう?」
 カナは仕方なく宇川を家に入れた。

次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫