《MUMEI》

「ご……ごめん!」

 な……っ!じりじりオレに迫ってくる!ぱっとすごい形相になって!?ヤマトは相変わらず無言だ。

「っつ!!」

 いつのまにか後ずさりしていたのか、壁にぶつかった。ヤマトの右腕がすうっと上がった。

「――っ!」

 ドンっと音が鳴った。人生の中で壁ドンをされることがあるなんて思わなかった。

「好き、だと?ふん、冗談は世界が残るのが確かになったときに言え」

 鼻で笑って流された。俺の話しなんて真に受ける気はなさそうだな。

「それのためだけと言うなら下がれ、迷惑だ」
「……っ!!」

 そんな事分かってるんだ。世界が終わるかどうか、まだ決まっていないこんな時にだから。
 でも言ってしまったのだから、引き下がる事は出来ない。ヤマトに、どうやったら伝わる……?
 ――正面から向き合うしか、ない。

「こんなときだから言うんだ!オレは本気でヤマトが好きになったんだ」

 ――世界を守るよりも、ヤマトが好きなんだ。

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