《MUMEI》

「かわいらしいお部屋ですね〜」
(あぁ、嫌すぎる…)
 カナは宇川を仕事部屋に入れ、彼をソファーに座らせた。
「お茶、用意しますね…」
「お茶はいいです。その代わりに僕の隣に座っていただけますか?」
(なんか図々しいヤツ!)
 怒らせると何をされるかわからない。へんに刺激しないために、大人しく彼の言葉に従う。
 隣に腰掛けた直後、肩を軽く押されソファーの上に仰向けに倒れた。宇川はすかさず、覆い被さるようにカナの肩の近くに手をついた。
「宇川さん!?」
「逃がさないよ♪」
 宇川はニタニタといかにも厭らしい笑みを浮かべていた。まるでウサギを追い詰めたオオカミのように。
「久し振りにJKをヤれるだなんて、幸せだなぁ♪」
(まずい…犯されちゃう!)
 気づいたのが遅かった。
 宇川はカナの着ているノースリーブのワンピースを、一気に首もと辺りまで捲り上げた。上下セットの白い下着が彼の双眸にさらされる。
(初めてなのに…!)
 ワンピースを元に戻そうと、その裾を掴むと、その手を紐で拘束される。
「抵抗はいけないよ?」
(こんなヤツに犯されちゃうなんて…)
 宇川はネットリと舐めまわすような目でカナの身体を眺めている。その後拘束した両手を頭上に移動させソファーに押さえつけた。押さえつける手は力強く、カナの力では到底かないそうにない。
 カナはせめてもの抵抗として宇川を睨みつけた。それに対し彼はフンと鼻で笑う。
「何その眼…そそられるねぇ。誘ってるの?早くヤられたくて堪らないのかな」
 睨みつけたのは逆効果だったらしい。
「先生、今から一緒にキモチヨくなろうね♪」
 宇川がカナの白いブラに手をのばす。
 彼がそれを捲り上げようとしたそのとき。
 ―――ボコッ!
 何かが宇川の頭に命中し、彼はソファーから転げ落ちる。
 コロロとサッカーボールが転がっていった。きっと宇川の頭に当てられたものだろう。
「誰だよ、僕らの甘い時間を邪魔しに来たのは!?」
「誰が邪魔しに来たって?お前はとっくにクビになってんだけど」
(誰!?)

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫