《MUMEI》
ボクの決意。
「神名か」
「うん。ちょっと補しゅ……もとい、教室で予習しててね」
「バレバレな嘘憑くな。また英語で赤点取ったのか?」
う……、と呻きながら硬直した。……図星だったようだ。
「は、ははは……。ん?あれ、埜嶋さん?」
神名が反応した。
「知り合いだったのか?」
「クラスメイトだよ」
適当に相槌を打ち、埜嶋に向き直した。
「…………?」
神名を見る埜嶋の眼光は鋭い。これはもう、睨むというレベルで。
「……確か神名くんも学園不思議研究部の部員……だったよね」
「うん」
睨む埜嶋に、神名は首を傾げる。
「情緒不安定野郎の神名くんがメンバーって、新斗くんいいの?」
「んなあ!?誰が情緒不安定だ!そしてどういう意味だ!」
入れ替わったな。
「そこがだよ」
「……………………」
神名は沈黙した。
そして埜嶋は深くため息を吐いた。
「……じゃあ業務に戻るね」
「……ああ。お疲れ」
……最後まで何を聞いているのか、謎だった。
「あー、ごめん新斗。少し話聞いちゃってた」
戻ったのか。忙しいやつだな。
「大丈夫だ、問題ない。他の奴には言うなよ。……ちなみに、埜嶋の質問の真意って、わかったか?」
「いやいや全然」
首を傾げて疑問符を浮かべている神名。仕方がない。ボクもだ。



生徒会と兼任するほどの価値が、学園不思議研究部にあるのか、か。
その答えは、Yesだ。
小鳥遊晶。
ボクがあの日、品川達の協力者の痕跡を探しても、一つも見つけ出すことはできなかった。
当たり前だ。
相手は記憶すら操作する。
仮にボクが見つけ出していても、記憶操作で消されていたかもしれない。
今だって、この記憶に疑問を持っている。
つまり、結局のところ無駄なのだ。
神名の多重人格。
風影の発狂。
逆間の記憶喪失。
5人の内、3人に現象が起きている。
ボクと天草、今のところ自覚はないが、何も起こっていないというのは、おかしい。
逆に不自然だ。
恐らく、何かを弄くられている。
そこまで考えると、本人じゃなきゃわからないくらいだが、体がぶるっと震えだした。
これは武者震いか、もしくは恐怖か……。
とにかく、神名に堂々と宣戦布告までしたんだ。
奴は必ず、またボクらの前に、現れる。
その時は、ボクが必ず追い詰める。
そう、決意した。

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