《MUMEI》

お父さんが家にいる







「早かったな」



そう言ってこっちを見る







私は「ただいま」って慣れたふうに言う










階段をのぼって、自分の部屋になってるドアをあけて







泣いてしまった










ほんの少し 前までは





一之瀬君のことを考えると笑顔がこぼれたのに








なんでなんだろう







いまは涙しかこぼれないや







自分が きたなくなっていく



どんどん





きらいになっていく


それが当然のことに思えるんだ 今は

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