《MUMEI》 ―パチパチ、カチッ。パチパチパチパチ…。 カナは書斎で、通知が来てからさっきまでのことを、ノートパソコンで執筆している。 (物語を作るより、こっちの方が簡単♪クセになってしまいそう) 叶人があっさり了承してくれるとは思っていなかった。ことは滞りなく進んで行きそうだ。 ―コンコン。 「どうぞ〜!」 叶人が書斎に入って来た。 「うまく進んでいるかい?」 「はい!今、若月さんが登場したところです」 「書くの早いのはいいけど、雑に書いていないだろうね?」 叶人はノートパソコンに表示されている文章を読んでいく。 「書いていて、続きがすごーく楽しみなんです。こんなに書くのが楽しみな作品はひさしぶりです♪」 「いい進度だね。明日が楽しみだな」 「明日ですか!?」 明日はありきたりな金曜日。何があるというのだろうか。 「早かったら明日かな。そこまでを書き終えたらオシエてあげる。それまではお預け」 「頑張って早く書かなきゃ!」 カナのキーボードを打つ指の動きが早くなった。 「特別に少しだけ。書き終えたらソファーで俺の隣に座ること、いいね?」 「はいっ!!!」 カナは小説を書くのが楽しくなった。 パチパチとキーボードを打つ音だけが書斎の中で響いていた。 それから約5時間が経った。 「ふぅ…。書き終わったぁ…!」 夜11時頃、カナは叶人から出された課題を成し遂げた。 (叶人さんのところへ行こう。待ちくたびれていないかな) カナはノートパソコンを閉じ、叶人のいるリビングへと向かった。 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜〜*〜*〜 「若月さん、書き終えました!」 カナは叶人の横に座る。その直後。 「っ!!?」 前へ |次へ |
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