《MUMEI》
沈黙。
埜嶋と別れてから5分くらいして、学園不思議研究部の専用部室である文化室に着き、神名はそのドアノブを捻り、開けた。
文化室には神名と僕を除く、部員全員が揃っていた。
「よー、やっと補習終わったのか?大変だったなー」
「……笑いながらだと皮肉にしか聞こえないよ」
「皮肉だからな」
「なん……だと……」
いつもの日常をなぞるかのように、神名と風影は他愛の無い雑談を始めた。
「新斗くんは生徒会の仕事終わり?」
逆間が尋ね、ボクは頷いた。
ふと埜嶋のことが脳裏を過ったが、逆間達に話してもまともな答えが返ってくる可能性は低い。
「そんなことより皆、記事を作るための資料はまとまったか?」
この場合資料とは、不思研の活動目的である記事を作成するために使うものだ。
この部活は、正直ボク達が集まるための口実でしかない。
そのため部活内容は何でもよかったのだが、小鳥遊晶の存在があった。
小鳥遊晶いるところには、不思議がある。
単純だと我ながら思うが、どこに小鳥遊晶の手がかりがあるかわからない。
望みは薄い。
だが、調べる価値はある。
怖いから、わからないから、たったそれだけの不安要素で、何も行動せずには、いられない。
全て、逆間が考えた。
逆間は他の三人と比べて、馬鹿ではない。
…………………………………………
はずなのだが。



「「「「…………………………………………………………………………」」」」


逆間を含めた四人全員が沈黙した。
…………なるほど。
学校だけでなく、ボク達すら騙したということなのだろうか?
「お前達ぃ…………」
ため息混じりに呟き、頭を抱える。
そして四人を睨む。
三回ほど深呼吸し、最後はさらに力強く息を吸った。

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