《MUMEI》
休憩厳禁
「バレーボールを始めます!
 3対3で、15点先取したほうが勝利です!
 
 選手を紹介します!
 Aチーム!六年い組 潮江文次郎選手!六年ろ組 七松小平太選手!同じく六年ろ組 中在家長次選手!
 Bチーム!六年は組 食満留三郎選手!五年い組 久々知兵助選手!四年い組 平滝夜叉丸選手!
 
 では、試合開始です!」


―借り物競争、意外と疲れたな。
まあ、あんだけ走りゃそりゃそうか…。


「大丈夫か?」
そう私に声をかけてきたのは、休憩をしている同じクラスの立花仙蔵だった。

「少々疲れたようだな。ちゃんと水分補給はしておけよ。」
『うん、ありがとう。
 それにしてもこのバレー、Aチーム強そうだね。』
「そうだな。全員六年生なうえに、小平太がいるからな…。」
『・・・・・・とりあえずBチームがんばれ。』



「さあ、平滝夜叉丸選手のサーブから始まりました!
 
 潮江文次郎選手、それをレシーブします!
 そして、トスをする中在家長次選手!
 
 出たぁ!!七松小平太選手のアタック!!!
 これは凄まじい勢いのあるアタックだ!!!
 
 そしてそのボールは、久々知兵助選手のもとへ!!」


「兵助!レシーブしろ!俺がアタックする!」
「えー!いやいや!!あんなボール無理でしょ!!?」
「お前ならできるはずだ!!
 ボールを豆腐だと思え!!そうすれば受けられるはずだ!!!」
「えええええええええええええええ!!!?
 仕方ないか!!よし!!
 
 ぐはああああ!!やっぱ無理ぃぃぃぃぃ!!!!!」
「兵助ええええええええええ!!!!!」
「久々知先ぱぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」

「大変です!久々知兵助選手の顔面にボールが…!!」


『うわぁぁぁ!兵助がぁぁぁ!!』
同じ委員会の後輩が大変なことになってしまったので、
さすがに私も叫んでしまった。
『どっ、どうしよう!!?仙蔵!』
「とりあえず落ち着け。」
仙蔵に冷静に言われてしまった。


「えー、久々知兵助選手が負傷し医務室に行ったため、
 バレーボールはAチームの勝利とします!」


落ち着いた私は、よく考えると兵助なら大丈夫だなと思った。
「「立花先ぱーーい!!」」
「げっ!!」
こっちへ向かって、一年生が二人走ってくる。
「千鶴!!私は逃げる!あの二人が来ても私のことは知らないふりをしてくれ!!」
そう言って、さっきまで隣にいた仙蔵は走っていった…。

「あれ?立花先輩は?」としんべヱ。
「華村先輩!立花先輩、どこ行ったか知りませんか?」と喜三太。
仙蔵はほんとにこの二人が苦手なんだな…。

『私は知らないよ。』
彼に言われたとおり、私は知らないふりをしたー。

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