《MUMEI》
3人組
「あら凛、勝手に連れて来ちゃったのね」
同い年位にみえるのに相変わらず結華ちゃんはおしとやかな口調。
「簡単に言うと、色々な組織に潜入して情報を奪ってきたり、希にだけど敵を殺したり…『スパイ謙暗殺屋』みたいな感じかな〜」
明るい話し方とは裏腹に凛ちゃんは恐ろしい事を話している。そんな集団に私は入ってしまったようだ。
「まぁ今日からよろしくね、梨々ちゃん」
よろしくねと言われても、スパイの一員だなんて全く実感がわかない。そもそも私はさっきまで夜道をただ歩いている女子高生だったはずだ。訳もわからない謎の集団に入るなんて家に帰るのと同じ位嫌だ。でも家に帰るよりましか?
「梨々花のお部屋はどうするの?」
小首を傾げる子百合ちゃんはこの世の生き物だとは思えない位可愛い。あ、もちろん良い意味で。
「そうね、一つ空き部屋があったしそこを使ってもらおうかしら」
と奥の部屋を指さした。
一晩に色々なことがたくさん起こったものだから、くたびれた。遠慮なく部屋へ駆け込み、家具一つ無い床に寝っ転がる。
結局私は3人に打ち解け始めているが、本当に大丈夫なのか。
まぁどの道家には帰りにくいし、スパイと言う割には気さくな雰囲気だし、しばらくここにいようかな。


スパイ、実は興味あったし。

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