《MUMEI》

 叫んだオレは、ヤマトの背を抱きしめた。身体が少し震えていたような気がした。

「さっきは突然で……。ヤマトから来るなんて思わなかった」
「――とんだ言い訳だな」

 冷たいヤマトの心には、これでも想いは届かない。なら――。

「っ!」

 ドサッとそのまま二人で倒れこむ。ヤマトには天井とオレ、オレには床とヤマトが見えている。

「これでも……分からない……?」

 ヤマトの頬をなでる。今のオレはどんな顔をしているだろう。ヤマトの顔にに近づく。でもヤマトは表情一つ変えなかった。別にオレを止めるわけでもない。むしろ、オレを誘っているような、挑戦的な……。
 愛している彼を壊さないように触れた。優しく口をふさいだ。

「大切だから……無理やりになんて出来ないよ」

 これがオレの想い。ヤマトみたいに強引になんてできない。本当に、好きだから。

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