《MUMEI》

 オレの答えを聞いて、ヤマトは「そうか」と言って起き上がろうとした。

「ぅぐっ!!」

 少しパワープレイだったとは思う。動こうとするヤマトの両腕を掴んで抑えつけた。
 行くと言ったけど、まだ言おうとしたことが……続きがあるんだ。

「行くけど、ダイチには少しだけ待ってもらう」
「何を言って――」
「キミの側にもっといたいんだ」

 ヤマトの真っ白な肌にほんのり色がかかった。閉ざした心が少し開いたのかな。
 彼はふっと笑った。いつものように鼻で笑ったけど意味は全然違った。

「本当に言っているのか、ヒビキ?」
「ああ、世界が終わるときまでずっと一緒にいたい」

 瞬間、逃れようとしていたヤマトの身体の力が抜けたと分かった。

「ヤマト?」
「貴様が事実を言っているのなら、示してみろ」
「!?」

 ――まさか。ヤマトがそういうなんて思いもしなかった。いや、こう言ってしまうと望み薄だと思っていたように感じられてしまうか。
 ヤマトから発せられた言葉だと思わず、しばらくこのまま硬直していた。

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