《MUMEI》
真実の断片1
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****年**月**日


梨本真弓は徹夜で作業していた。
こういうことは日常茶飯事なので、後でゆっくり休んでやるからなと、なだめれば大人しく力を貸してくれる体になっていた。


真弓にとってこれは自信作であった。
早くこれを見てもらいたい。
自慢したい。
……そういう作品だった。


朝7時調度、電話が鳴りだした。


「はいもしもし」

「高科です。朝早くにすみません。今大丈夫ですか」

「守君、お早う。徹夜明けだけど大丈夫よ。どうかしたの?」

「お疲れ様です。今日の夜に会えないかと思ったんですけど、徹夜明けじゃあ厳しいですよね。また今度連絡します」

「あっちょっとちょっと。私夜なら大丈夫よ。今日は昼までに仕事終わりそうだから、それから夜まで寝れば睡眠はばっちりよ」

「本当ですか。それじゃあ7時に、いつもの場所で良いですか。あの、無理そうだったら連絡して下さい。たいした用事ではないので」

「大丈夫よ。それじゃあ今夜7時にね」


真弓はうきうきした気分で会社に向かった。

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