《MUMEI》

固まる美月に金本は耳元で
「あなたの返事次第でこのこと黙っておいてもいいわよ。来週の月曜日の昼休みここでまってるわ。」

そう言い残し、生徒指導室を後にした。


あれから、どれくらいたっただろうか。

美月はずっと生徒指導室の真ん中で立っていた―…。


ガラッ

「美月?どうしたんだ?こんなところで…。」

ふと振り向くとそこには暁が立っていた。

『ううん。ちょっと先生と話してただけだよ。』

先生と話していたのは本当のこと―…。

「そうか…。なんか、悩みでもあるんじゃないか?」
美月は暁に全てを見透かされたような気がした。

『そんなのないよ?』

美月は暁に初めて「嘘」をついた。

「そうか…。」

『そろそろ、授業だから行くね!』

美月はこれ以上、暁といると全てがバレてしまいそうでその場を逃げ出した―…。

生徒指導室に残された暁―…。

走り出す美月―…。

今まで交わっていた二人が平行に重ならなくなった瞬間だった―…。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫