《MUMEI》
…オシオキ。
「…叶人さんがいぢわるだから…」
「だからそんな表情をしてたんだ?」
 叶人は笑っていた。
「いぢわるな叶人さんにオシオキ!」
「カナ、何する…うわぁっ!!!」
 カナは叶人に冷たいシャワーを浴びせた。
「まったく…もぅ…」
 叶人はすぐにびしょ濡れになった。彼は視界を遮り目にかかる髪のかきあげる。
「っ!!!」
(濡れた男の人ってカッコイいものなのかな…)
 カナには濡れた叶人に魅力を感じた。
 彼の程良くしまった上半身。それに濡れた服がはりつくことで、普段見ることのできない彼の筋肉を引き出している。
「ひゃっ」
「何ぼうっとしてんの?」
 叶人は、シャワーを握り続けているカナに詰め寄る。その時、彼の髪から滴った冷たい雫が、彼女の白い裸体にポタリと落ちた。それはそのまま、そこを滑り落ちていく。
「叶人さん…冷たいよ。風邪ひいちゃう」
「…俺をそんなふうにしたのはカナだろう?その程度じゃ風邪はひかないよ」
 叶人はカナの手からシャワーを奪った。彼は手で熱さを確かめ、丁度好く温まったシャワーを彼女に浴びせた。
「気持ちいい…。叶人さん、ありがと」
「でも…このくらいじゃ、直ぐに冷えちゃうんじゃない?ちゃんとアタタめないと、ね」
「?」

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