《MUMEI》
例外と女の子1
光と一緒に屋敷へ来た俺は、その屋敷の圧倒的な美しさに目を奪われた。
雰囲気はさびれているものの
造りはしっかりしているし
有名な建築家が建てたに違いないと思いながら
隣を見た俺は先刻とは違った意味で驚いた。
なんと学校では威勢のよかった光が妙に縮こまっているからだ。
「おい光どうした?どこか調子が悪いのか?」
「いやそうじゃなくて・・・」
「まさかお前・・・」
幽霊が苦手なのは、こいつのほうだったか
これはさっさと終わらせたほうがいいな
と思いながら俺は屋敷へ入ることにした。
光も震えながらついてきている。
電気はもちろん通ってないが水道からは
水が出ているのできっと川から水をろ過して引いているのだろう。
「光大丈夫か?」「大丈夫だ。なんとか」
と話をしていたら遠くから扉が開く音がした。
その瞬間、光は情けない悲鳴をあげながら走って帰ってしまった。
「やれやれただの風だろ」
と呟いた俺は帰ろうとしたとき後ろから
「お前は誰だ?」と聞かれ驚いてしまった。
振り向くとそこには身長160cmくらいのコートを着てフードを被った男が立っていた。
手には何か縦長の袋を持っている。
明らかに見た目が不審者だったので
先手必勝と思い相手にとびかかる。
相手は俺の顔を見て
「あなたは!」となぜか驚いている。
まさか知り合い?
と思い、止まろうとしたがもう遅かった。
勢いがついた俺の体は中途半端に減速し相手の男に当たって俺ともつれるように倒れた。
「痛てて」
立ち上がろうとした俺は手の中に何か柔らかい感触をみつけた。
確かめるために何度か感触を確かめる。
「キャ!」
ん?とコートの男を見た俺は頬に痛烈なビンタをくらった。なんと今まで男だと思っていたのは実は女の子だったのだ!
俺は数秒間だけ気を失った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫