《MUMEI》 例外と女の子2「うぉっ」 「あら起きた?」 意識を取り戻した俺は目の前にいるコートを着た女の子にまずどんな言葉を掛けるか悩んだ。 気を失ってしまったせいか 何だか記憶がはっきりしない。 覚えているのは この子にとびかかろうとしたまでだ。 「えっとーごめん!」 「別にいいわ。逆の立場なら私もそうしたもの でも胸を揉むのはどうかと思うけど・・・」 「え!」そんなことしたのか俺! 我ながら情けない。と顔を赤くしていると 「まさか覚えてないの?」 「うん。その・・ごめん」 「いいわ。というか覚えてないなら 忘れなさい!」 「は、はい!」 というか彼女は何者なんだろう? 「えっと、君の名前は?」 「名前なんてないわ」 名前がないなんて有り得るのか?と聞こうと思ったら話題を変えられてしまった。 「じゃあ次は私の質問よ。あなたは私が違う世界から来たと言ったら信じる?」 「悪いがそういうことは信じないんだ。」 「でも事実だし私には君がどういった人間かも分かっている。」 じゃあこいつは俺に前世の記憶があることを知っているのか? 「そんなことあるわけがない。」 「でも私は君の正体を知っている。 あなたには前世の記憶がある。そうでしょ?」 こいつ本当に知っている! 「だが何故そのことを知っている? いくら違う世界から来たって そんなこと分かるはずがない!」 「それが分かるのよ。 私は輪廻界から来たんだから。」 「輪廻界?」 「そう輪廻界とはこっちの世界で死んでしまった魂の管理をする場所よ。ある魂は人間に、ある魂は虫にといった感じにその魂の役割を決める場所のことなの。」 「そんな世界があるのか?」 「えぇあるわ。あなたは輪廻の例外といって魂から何かを引き継いだ者のことよ。」 「何かというのは?」 「魂から引き継ぐものは人それぞれよ。あなたが引き継いだものは記憶、他には前世で学んだ知識とかね。でもあなたは完璧には記憶を引き継いでいないのね。」 「ああ、俺の前世の記憶は中途半端なんだ。」 「なんだかあなたいろいろ中途半端ね。」 「それでお前は何の用で輪廻界からこの世界へ来たんだ?」 「そうそう本題はそれよ。 死んでも輪廻界へ来ない魂は、ある一定の時間が経つと怪物へと堕ちてしまうの。 そんな怪物は生きてる魂を喰らい完璧な存在になろうとする。それを阻止するのが私達の役目なんだけど、最近あまりにも数が増えて手がつけられなくなってきたのよ。だからあいつらと戦う人を増やすために来たのよ。」 「ふーんそうか。」 「なに他人事みたいなこと言ってんのよ あんたの事よ。」 「はぁ?!」 「当たり前じゃない!奴等と戦えるのは 同じ輪廻の例外のあなただけなのよ」 「俺はそんな奴等と一緒なのか・・」 「まぁ輪廻の内で例外になるか、輪廻の外で例外になるかだけの違いだしね。」 「俺はそんなのとは戦わないからな。」 「えぇ!なんで?」 「第一そんなの見たことないし あんたが異世界から来たのは信じるが そんなことまで信じるほど 俺の頭はファンタジーじゃない。」 と言い俺は別れも言わずに廃墟を出た。 だが彼女は別れ際にこう言った。 あなたはまたここに来ると 前へ |次へ |
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