《MUMEI》

 ―――ガバッ!!!
(これは…夢?)
 それは幼き頃に知ってしまった現実。
 当時、父親はギャンブルに狂ってしまい、毎晩カナが寝付く頃、八つ当たりとして母親にレイプしていた。
 そして5年後、父親は母親を奴隷として扱うようになりはじめ、彼女にギャンブルの資金の稼がせるために、当時の仕事を辞めさせて娼婦に堕落させた。そして今も母親は夫のために、見知らぬ男の前で脚を開き続けている。



 『カナ。私のようにならないで。あなたを愛し、愛してくれる優しい人と幸せになりなさい』

 ―それが、カナに母親が遺した最後の言葉だった。
 翌日、カナは泣く泣く母親と別れた。
 カナが両親と別居している理由、それは母親が自分と同じ道を辿らせないように、夫から引き離したためだった。
 彼女は彼と違って、1番にカナの幸せを願っていた。愛娘が幸せに暮らしていけるのなら何も厭わない。そんな人だった。

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