《MUMEI》
叶人@
 ―キュルルル…。
(腹減った…)
 叶人は空腹で目が覚めた。丸一日何も食べていないせいで、胃は食べ物を強請り、身体はだるい。
(何か買ってこようか…)
「ん?」
 叶人の目の前にはラップを掛けられた皿があった。
『朝御飯作ったよ。よかったら食べて?』
 細くて丸っこい、かわいらしい文字がラップの上に置かれたメモ用紙に並んでいる。
(カナ…。目の前に置いたってことは、俺のために作ってくれたのか?)
 叶人は目の前の皿のラップを取った。皿には、スクランブルエッグと三角のサンドイッチが5つのせられていた。
「いただきます」
 サンドイッチを1つ、口に運ぶ。
(美味い…)
 叶人はサンドイッチをほおばっていた。
 ―〜♪
 そばに置いていた、携帯電話が鳴いた。画面にはメッセージの通知が表示されている。
(…忙しそうだな)
 メッセージの送り主は、叶人の弟からだった。今日の仕事が終わったからか、返信してくれた。
「お前ほどじゃないが」
 弟の返信に笑みをこぼす。彼の仕事は巡回くらいだが、いつ出動するかわからない。彼曰く、平和が一番ありがたいらしい。
 ―〜♪♪♪♪♪
 弟とやりとりしていると、誰かがカナを訪ねてきたようだ。通話ボタンを押して、訪問者に用件を訊こうとした。
「はい」
『…』
 しかし、訪問者は黙ったまま。暫く待ってみたが、何も話そうとしない。
(だれだよ…)
 叶人は玄関へ行き、開錠し、ドアを開けた。
 そこには女性が1人佇んでいる。
(コイツ…!)
「“カナト”」
 ―ドサッ!………………バタン。
 気付いた時には遅かった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫