《MUMEI》
例外の日常
「光、逃げろ!」
「相棒、待ってくれ〜」
「早くしろ!“奴”が来るぞ!」
その瞬間、光が“奴”に捕まってしまった。
「助けてくれ・・相棒・・・」
くそ!光を助けねえと!
「待ってろ!今、引きずり出してやる!」
俺は懸命に奴から光を引っ張った。
しかし光を助けることはできなかった。
あの“かまぼこ野郎”から・・・
「か、かまぼこ!」
目が覚めた。
「なんだ、夢か。」
全く今時の高校生が、かまぼこの夢でうなされるとはベタにもほどがあるだろう。
しかし俺は夢の続きについて考えた。
あのあと光は、かまぼこにあんなことやこんなことをされるのか。
いや光自体がかまぼこにされるのか。
なんか自分で考えたのに余計に怖くなってきた。
「顔洗お。」
そしてベッドから出ようとしたところで
俺の隣に誰かがいることに気がついた。
布団をめくると、そこには女の子が・・・
「うわぁ!」
な、何でコイツがいるんだ?
「起きたのぉケン?」
何故か俺の隣で寝ていた女の子は
さも自分のほうが早く起きていたという口調で喋りかけてきた。
「何でお前が俺の家にいる!?」
まず最初に思ったことを聞いたのだが
「えぇー覚えてないの?ケンが私をここまで運んだのにー」
まるで考えていなかった斜め上の解答
俺がコイツを家に入れた?
全く記憶にない。
「それに私はお前じゃなくて、リンよ」
ん?
「お前、名前は無いとか言ってなかったか?」
「ケンがこの名前つけたんじゃない。」
またしても予期せぬ解答
「俺はお前に名前をつけた覚えはないぞ。」
「じゃあ昨日のことを思い出してよ。」
昨日のこと、きのうのこと、キノウノコト、キノコノコト・・・
確か昨日は、あの怪物を倒して・・・
それで俺は疲れてその場でちょっと休んで
でそのあとは・・・そうだ!
怪我したコイツを家まで運んで・・・
それで、確かコイツが生きてるか話しかけて
そんで名前がないと呼ぶのに不便だから
輪廻界、輪廻、リンネ、リンとかいう安直な考えでコイツに名前をつけて俺も疲れて寝ちまった・・・
「思い出した?」
「ああ、はっきりとな」
「そう、じゃあ私今日からここに住むから。」
さらっと、とんでもないこと言いやがった。
「はぁ!?」
「別にいいじゃない!この家、あなたしか住んでないんでしょ?」
「そういう問題じゃねぇ!」
「残念だけどもう部屋も決めたし!」
有り得ねえ!!!!!!
俺の平和な日常が・・・
俺の日常にヒビが入った・・・気がした。

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