《MUMEI》
私たちのSTORYが、はじまる。
私たちのSTORYが、はじまる。

聞き覚えのある声。いつも、いつも。
聞いている。

それはーーー。

「お姉ちゃん!!」

「あかり……。」

ちょっと、キツくて力強い声が、今は、か弱く感じた。
そう、お姉ちゃんは、

チカラを、『持っていた』んだ。


「晴悟君、私たちの過去を、映像化してくれる?」
「あ、うん。」

《私のチカラが、芽生えたのは、小学六年生の、今日だった。
その日、ひいおじいちゃんが、死んだ。
おじいちゃんは、癌【ガン】だった。
おじいちゃんは、優しくて、いつも、自分のことより、人のために生きている人だったよ。
だからね、私、ショックだった。
こんな記憶、なくなっちゃえばいいのに、って。
そう、願っていたら、気づいたときには、記憶を一時的に消すチカラを、持った。》

ーー9年前ーーーーーーーー。

「菜月、、、、、、これからの人生……………、頑張って、、、くれよ…………………。」

そう言って、



おじいちゃんは、死んだ。

「おじいちゃん!!」

そう、言ってみたけれど、

返事もなく、ピクリとも、

動かなかったんだ。


そして、9年前の、今日。
学校だった。

「菜月って、おじいさん亡くなって、ショック受けたわりには、元気だよね。?」
「ん、まぁ、ずっとずっとこんなんじゃ、いけないっしょ??」

って、言った。

けど、可笑しな事に、

あぁ、おじいちゃん、死んじゃったんだ。
何でーー?

あれ??
今、私、忘れていた…………よね??

『死んだ』って事を、私は、忘れていたんだ。
そこから、嫌な記憶は、

一時的に、(多分)忘れる事が出来るようになった。

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