《MUMEI》

部屋の中は自動点火式暖炉の熱で、春先のような暖かさに包まれていた。
ここから窓の外を見ると、冷たい雪片も、暖かい綿(わた)の塊が乱舞しているようにしか見えない。
アヤは こんな暖かい家の中から、外の世界で雪がふぶいたり、嵐が大雨を降らしているのを見るのが好きだ。


例え外の世界で何が起きようとも、この家の中だけは別世界で、自分が隔絶された楽園にいるような気持ちになれるから....。


「それにしてもパパ遅いわねぇ。
何かあったのかしら?」


母の声を背中に聞きながら、アヤは雪片の乱舞する窓を再び見つめる。


その瞬間....


黒い景色の中で赤い輝きが2つ灯った。


え?


何?

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